Question & Answer

メンタルトレーニングに関するご質問

普段メンタルトレーニングのセッションや人と会話する際に、

気を付けていることなどはありますか?

(言葉遣い、言葉選び(使わないようにしている言葉など)、トーン、間など)

A.  普段意識していることは「丁寧に話を聞くこと」です。心は目に見えないため、行動や語りから相手の状態を推測することになります。その際に自分の偏った考えが間に入ると真実が歪んで見えてしまいます。そのため、自分の中立を意識するためにも相手と関わるときは「丁寧に話を聞くこと」を意識しています。

指導者の動機付けと選手たちの動機付けを

同じにするのは難しいのではないでしょうか?

A.  指導者と選手の動機づけを一致させる必要はありません。動機づけが高いとは「行動の理由を理解している状態」なので、選手が目標に向かってどのような行動をとるのかを自己決定できるように指導することが指導者に求められる行動です。

内発的動機付けの内容は、

大学の講義でも意識して意識したり、活かせたりしていますか?

A.  学生自身に自己決定させる機会を多くするように心がけています。

チームワークの取り組みは

対象年齢はどの年代からが良いのでしょうか?

A.  小学生高学年であれば十分に理解できる内容だと思います。たとえばチームメンバーでチームの目標について意見交換するだけでもチームワークは向上します。そのためミーティングのときに目標をテーマに話し合いをするなどの介入はできると思います。

チームとしてチームの行動や目標を妨げる選手がいた場合

どのようにチームワークを高めるように指導していくことが良いのでしようか?

A.  個人へのアプローチ:まずなぜ妨げるような行動をとるのかを明確にする必要があります。たとえば怪我でプレーできないからなのか、単に辛い練習をしたくないからなのかによって対応は変わります。その選手の行動の背景にある理由を深堀りしていくとアプローチの方法が見えてくるかもしれません。

チームへのアプローチ:組織は積極的なメンバー、普通のメンバー、消極的なメンバーの割合がおおよそ2 : 6 : 2になると言われています。消極的なメンバーを引き上げることができればいいのですが、実際は難しいです。なのでポイントは6 割の普通のメンバーを積極的なメンバー側へ引っ張り上げることです。この6割のメンバーは、チームのムードによって上にも下にも行きます。下に行った場合、チームワークを発揮することは難しいです。そのため、いかに普通のメンバーを積極的にできるかが鍵になります。

コーチ陣のチームワークをアップさせる為の方策は

どのようなものがあるでしょうか?

A.  コーチのチームワークを上げるときも基本的な考え方は変わりません。ただ選手以上に価値観の共有は重要です。価値観が共有できていれば、多少指導内容が違っても大きく逸れることはありません。一方で価値観が異なる場合(体罰の容認など)、一致団結することは難しいと思います。そしてコーチ陣の意見がズレることによる被害は選手に向かいます。そのためコーチ陣でチームとして大切にする価値観を共有できているかが重要になります。

中村さんの変えられる事と変えられない事という言葉について。 もし私が他者に同様に発しても、中村さんと比較し長い長い距離があると感じました。 

困難を克服した、してるからなのか、ある一定の達観があるのでしょうか?

A.  回答:個人的に障害を克服したという感覚はありません。今でも自分の体のことで落ち込むことや思い悩むことはあります。しかし、車椅子での今の生活がマイナスかと聞かれたら、「全くそんなことはない」と言い切れます。理由は、この体になってから、出会った人や学んだことが多過ぎて、この障害なしに中村珍晴を語ることはできないからです。今ではこの障害が、私を構成する大切な一側面になっています。

医療・福祉の現場では「障害を受容しなければ前に進めない」と言われることがありますが、私はこの考えに反対です。受容は目指して獲得できるものではありません。今の自分にできる最善を積み重ねていくと、ふと振り返ったときに「障害に対する捉え方が変わったかな」という自分に気がつくことがあります。この状態こそ「障害を受容した」状態だと思います。つまり、受容は目指して獲得できるものではなく、「変えられること」に向き合い行動した結果として生まれる感覚だと考えています。

困難は克服しても良いし、克服しなくても良いと思います。それよりも私は今を懸命に生きることを大切にしています。